自然素材でつくる、心地よい住まい
2025.12.15
家づくりのお役立ちコラム
家づくりを考えるとき、誰もが「長く安心して暮らせる家」を思い描きます。最近、その願いを叶える方法として注目されているのが「自然素材」を取り入れた住まいです。木や土、紙や繊維といった昔から身近にあった素材は、化学建材にはない温もりややさしさを持っています。自然素材の家は、健康や環境への配慮だけでなく、暮らす人の心を穏やかにしてくれる存在として、改めて見直されているのです。
自然素材の種類と魅力
自然素材の代表といえば、やはり「無垢材」です。木そのものを使った床や家具は、触れたときの温かみが心地よく、季節ごとの湿度を調整してくれる働きもあります。年月を重ねると色合いや艶が少しずつ変わり、家族とともに成長していくような感覚を味わえるのも魅力です。木の香りは心を落ち着かせ、リビングや寝室にぴったりです。
特に静岡県の山間部で育まれる天竜杉は、木目が美しく香り豊かな杉材として知られています。床材に使えば柔らかな足触りと断熱性で冬でも暖かく、壁材に使えば室内の湿度を調整しながら空間にやさしい雰囲気を与えてくれます。杉特有の香りにはリラックス効果があり、暮らす人の心を穏やかにしてくれるのも大きな魅力です。
壁材として人気なのが「漆喰」や「珪藻土」です。漆喰は室内の湿度を整え、カビの発生を防いでくれる頼もしい素材です。真っ白でやわらかな質感は空間を明るく見せ、清潔感を演出します。珪藻土は小さな孔が湿気や臭いを吸い込み、梅雨の時期でも快適な室内を保ちます。ペットのいる家庭では消臭効果も実感できるでしょう。どちらも機能性だけでなく、自然な風合いがインテリアとしても魅力的です。
そのほかにも、羊毛や麻は断熱材として使われ、冬でも室内を暖かく保ってくれます。綿や麻のラグは肌触りがやさしく、化学繊維にはない柔らかさを感じさせます。竹や和紙は日本らしい素材で、竹は軽やかで涼やかな印象を与え、和紙は障子や照明に使うことで柔らかな光を広げ、落ち着いた雰囲気をつくり出します。自然素材は、暮らしに文化や美意識をそっと取り込む役割も果たしているのです。
選び方のポイントと暮らしへの活かし方
自然素材を選ぶときに大切なのは「暮らしとの相性」です。小さなお子さんがいる家庭なら、傷に強い床材を選ぶと安心です。無垢材は温かみが魅力ですが、柔らかい種類は傷がつきやすいため、床には硬めのオークやナラが向いています。杉材の中でも天竜杉は適度な柔らかさを持ち、足触りが心地よい一方で、表面の傷も味わいとして経年変化に溶け込むため、長く暮らすほどに愛着が増していきます。
漆喰や珪藻土は調湿効果に優れますが、施工には技術が必要なので、仕上がりやお手入れ方法を施工業者に確認しておくと安心です。
自然素材は「適材適所」で使うことがポイントです。床には木材、壁には漆喰や珪藻土、天井や建具には竹や和紙といったように、それぞれの特性を活かすことで家全体が心地よく整います。天竜杉を床や壁に取り入れることで、木の香りと温もりが家全体に広がり、自然と調和した暮らしを楽しめます。
また、自然素材は手入れをしながら長く付き合うものです。無垢材の床は定期的にオイルを塗ることで美しさを保ち、漆喰の壁は小さなひびを直しながら使い続けられます。こうした手間は「家とともに暮らしを育てていく」楽しみにもつながります。
さらに、自然素材は環境にもやさしい選択です。木材や竹は再生可能な資源であり、漆喰や珪藻土も自然由来の素材です。特に天竜杉は地域の森林資源を循環させる取り組みの中で育てられており、使うことで森の健全な維持にもつながります。化学建材に比べて環境への負担が少なく、廃棄するときも自然に還りやすいという特徴があります。家は長く住み続けるものだからこそ、環境に配慮した素材を選ぶことは未来への贈り物にもなるのです。
自然素材の家づくり
自然素材の家は「健康」「快適」「環境へのやさしさ」を同時に叶える住まいです。無垢材の温もり、漆喰や珪藻土の機能性、竹や和紙の美しさ、そして木材の香りと柔らかな風合い。それぞれの素材の魅力を理解し、暮らしに合わせて取り入れることで、家は単なる器ではなく、家族を支える大切な存在になります。自然素材は日々の暮らしに寄り添い、時間とともに味わいを増していくもの。家づくりを考えるとき、自然素材を取り入れることは、心地よい暮らしを長く続けるためのやさしい選択肢になるでしょう。



























