今月は東日本大震災があった月、そして再び東北で大きな地震あった月でしたので、建物の地震に対する強度のお話です。

建築基準法は、中規模地震(震度5弱程度)に対しては構造体が無被害、大規模地震(震度6強~7程度)に対しては構造体に被害は出るものの倒壊はしないことを目標にした最低限の基準になっています。

静岡県では独自の基準により昭和59年に「静岡県地震地域係数」を定め、建築基準法で定められた数値の1.2倍(※1)の地震力に対して安全な構造にしなければないと促し、平成29年からは義務化しています。

2階建て以下の木造住宅のような小規模な建物は、筋かいや合板の入った壁(耐力壁)の長さの必要量を求める「壁量計算」を行いますが、「静岡県地震地域係数」の1.2倍にさらに「真の耐震性能のばらつきによる倍率」の1.1倍(※2)を乗じた1.32倍の壁量を満たすように規定されています。

※1:建築基準法が想定する地震動の大きさ(300~400gal)と 比較して、静岡県が想定する東海地震及び南海トラフ地震の地震動の大きさ(475gal)が約 1.2 倍である ことを根拠としている。
※2:品質確保の促進等に関する法律(品確法)による壁量計算(精算手法)と建築基準法の壁量計算(略算法)の評価値の誤差を根拠としている。
(静岡県建築基準条例・同解説より)

耐震等級という言葉を聞いたことがあると思いますが、耐震等級1を建築基準法と同相当とし、耐震等級2は1.25倍、耐震等級3は1.5倍相当として評価します。長期優良住宅の認定にあたっては耐震等級2または3が求められています。

静岡県の基準で設計された木造住宅は建築基準法の1.32倍で造られていますので耐震等級2以上は満たしていることになるのです。

南海トラフ地震が起こると言われている土地柄、静岡県の基準は“命を守ろう!”という姿勢が分かる取り組みですね。